外国語を習うときには、ある程度表現を丸ごと覚えてしまう必要がある。文法が正しくて、きちんと自分の表現を翻訳して表現したとして、それは意味としては外国人にちゃんと伝わるであろうが、現地の人が普通に行う表現とは違っているかもしれないからだ。
だけど、逆はあまり考えたことがないのではないか・・・と思う。
なんでそんなことを考えたのかというと、出雲弁で言ったらどうなるのか考えてみたからだ。アナ雪の方言バージョン、いろいろ出てるじゃないですか。それはそれで実は生き生きしていて、オフィシャルに訳されたものよりグッとくる表現だったりする。
日本語で正確な表現、それは確かに存在する。しかし、その場合、その日本語を誰かがどこかで実際に喋っているかどうかを、ある意味翻訳者は考えていなくてもいい。しかし方言にするとなると、ある程度地元でこなれた表現をする必要がある。
アナ雪のFixer Upper (邦題:愛さえあれば)の中の歌詞で
She’s a bit of fixer upper. (彼女は少し手直しが必要だ)
という表現がある。このfixer upperという言葉は、多分他の言語にあまり該当する単語がないのだろう、各国語に訳される時も全く違うこなれた表現が当てられている。日本語の吹き替え版では「彼女も完璧じゃない」と訳されている。それは間違いなく日本で通じる表現である。問題はその表現を日本人の誰がするのか?という問題だ。
もし出雲の人がそれを表現するとしたら、多分
「このしもちょんぼ直さないけんとこがある」
というと思う。「このし」は「この衆」のことで平たく言うと「この人」のことだ。「ちょんぼ」は少しのことで、「いけん」は「いけない」関西弁でいう「あかん」に当たる言葉だ。
なにはともあれ、仮に彼女という言葉が正しい日本語だったとしても、会話の中で私の周りの人が「彼女は・・・」ということはまずない。圧倒的に「このし」「あのし」という。
もし、本当に生まれ育った姉妹が実際に交わすような会話が映画の中に出てきたら、ついほろっとしてしまうようなことがあるに違いない。しかし、実際に吹き替え映画の中でてくる表現は一定の距離感がある。
外人さんで日本に来て、あらかじめ日本語をよく勉強している人は、ある意味そういう日本語を使っているかもしれない。だが、日本語が全くわからないまま日本人と結婚して、訳が分からないまま何年もいたような人が、見事な関西弁をしゃべっているというようなケースが確かにある。
新潟なら
あのしょも ちっとばか
直さんばねーとこがあるこてさ
かなぁ?
いろいろ脳内で翻訳してみるとおもしろいですね。
あめさん、こんにちわ。
「あのしょ」ですか。
明らかに「あのし」と同じ表現だと思います。
ひらがなでは「あのし」と書いているのですが、口をちょっと横に開いて歯を合わせ口の中を緩めて「す」だか「し」だかわからない音を出すのです。多分同じだと思う。
自分では気になっていたので、同じような表現があるとわかってよかった。
新潟弁は北前船の関係で上方の方の言葉とも近いと聞いたことがありますか、同じく日本海側同士なので、出雲方面とも関係あるのかもしれないですね。
あめさん、こんにちわ。
詳しくはわかりませんが、無関係ではなさそうですね。
ちょっと気を付けてみているようにします。