島根県は広島県についで土砂災害危険箇所が多い土地だ。そして我が家の裏山も、広島の被災地と同じような赤い土、真砂土だと思う。真砂土というのは花崗岩が風化した土でもろく水を含みやすい。一定の雨が降ると崩れる。
しかし、我が家の裏山は、コンクリートで崩れないように覆いの工事がされている。これがなければ、土砂災害危険箇所指定を受けることになって、たとえば家の建て替えなどをするときに建築許可が全く下りないことになってしまう。
1964年島根県には大規模な水害があった。そのとき、我が家の裏山が崩壊し、台所部分が土砂につぶされたと聞いている。私はまだいなかったわけだが、私の家の者は、一度は台所にいて、近くの山が崩れたのを見に外に出た。そのときに台所の上が崩れてきたのである。その後私が幼い時にも一度近くの家に避難したことがある。そのときも台所の前の花壇の部分にまで土が崩れてきて、山の形が少し変わった。家の前の水道管が破裂して、高く水が上がっていたのを覚えている。
現在も地域の自治会でたびたび防災のことが話し合われる。連絡網をどうするか、どこが危険地域でどこを工事するのか、どのお宅は立て直すときに建築許可がおりるのか、おりないのか。
すると、今回の広島の災害についても、それが果たして仕方がないものだったのかどうか、とても疑問に思える。
広島県は土砂災害危険地域が最も多い県だ。また土石流危険渓流という指定もあるのだそうだが、今回のエリアにはこうした渓流が100以上も集まっていたのだという。にもかかわらず、ここには新しく県営住宅が立てられたり宅地造成が行われたりして、テレビに出てくる被害者の皆さんは入居して1年ほどだとか1か月だとか、新しくこの土地に来た人が多い。
仮に40年広島に住んでいる人だとしても、それ以前にはよそにいた人には多分その危険性はわからないだろう。
しかし、それ以前から地域をよく知っている地元の人間は、あそこが危ないと絶対わかっていたはずだと思う。
ということになると、誰かがその危険な土地を宅地にし販売するということを無理やり行ったのではないかということになる。土地の所有者か、デベロッパーさんか。今はそれどころではないということになるのかもしれないが、そこはちゃんと追求していくべきなのではないか。