ある、公共の施設にいったところ、そこのお手洗いに、使ってはいけないという意味なのだろう、差別用語らしい言葉の一覧の表が貼ってあった。
自分としては、本当はめくらやつんぼというのにいちいち敏感に反応するのもどうか思うのである。
いまどき、ブラインドタッチとか、窓の遮光のためのブラインドまで、差別の言葉だからダメだという。でも、視覚障害タッチとか全盲タッチとか言ったらいいのかというと、そんなことはないわけです。言う人が「やーい、シカクショーガイシャー」と侮蔑的に云えばそれはダメなのだし、「どこそこにめくらの方がおいでになりましてね」というような話をしたからといって、ただちに侮蔑の意味があったとは思えない。
私が住んでいるエリアでは、つんぼとは言わないで、耳ガジ、またはガジというのが一般的だった。全く聞こえなくなったわけでもなくても、「ガジになって」といえば耳が聞こえにくくてね、というような意味で受け取られていた。いちいち目くじらを立てるようなことだろうか。しかし、じっさいにはみんなガジとはいわなくなった。
佐村河内さんの件もあったし、「あいつは二級だ」なんて言われるほうが自分はよっぱど嫌だ。
しかし、それでもめくらやつんぼは、公の場から姿を消したと思う。
同和というような単語も上がっていた。
でも、正直なところ、私自身も誰が同和なのかどこが同和なのか、知らない。自分が同和地区の人よりましな人生を送っているのかどうか、それも知らない。実体が全く伴っていないと思うのだ。
極めつけはhistoryだ。
何か矢印が描いてあって、続けてhis+storyと書いてある。
これはなんのことかわからなくて今日Webで検索してみたら、historyはhis(彼の)story(話)なので、男性優位の言葉だと言っている人がどうやらいるようなのである。
historyはギリシャ語のἱστορίαで、ヘロドトスがペルシャ戦争にまつわる出来事を順番に書き連ねた出来事の書物のタイトルにしたことによって一般的な「歴史」という意味になったので、storyとhistoryは同じ語源の言葉だ。
私もWebで見たのが最初なら、「馬鹿なやつがいるなあ」と思っただけかもしれない。でも、この紙を見たのは市営の施設なのだ。
一方で本当に重要なことが見過ごされているケースもある。
自分はちょっとそういうことに関わったことがあるからいうのだけれど、学校で、めくらでもつんぼでもなく、同和地区出身者でもなくて、だけどじっと席に座っていることができない子、家庭の都合でちょっと変わった子、こういう子はいじめの対象になりやすい。ところが、教員の多くはそういう子に対するいじめや差別には目をつぶってしまう。人権といえばめくらやつんぼや同和地区のためのもの、君は違います、というわけだ。
今は貧困とかシングルマザーとか、いくらでも他に取り上げるべき問題があるじゃないか。
どうも、役所はステレオタイプに「これが差別です」というのを決めてしまって、完全に既得権益化してしまっているんじゃないかと思う。