世間の尺度では、私はいい学歴の持ち主だろうと思う。
でも、自分としては、あれこれを勉強し足りないという気持ちをずっと持ってきた。
多分、学校がそういうものを見ていないのだと思う。
今どうなっているか知らないけれども、私の世代で理系・文系というのははっきり分けられた。文系だと、せいぜい数Ⅱまでしかやらなくて、数Ⅲの履修はなしで、特に私立文系に進む人たちは、最後のほうでは全く数学をやらなかった。
だけど、一通り微積分をやると、どうやら対数関数なのだけど、三角関数で解けるとか、そういう一通りやっていない人には思いもつかないようなつながりが出てくる。
自分はプログラムをやった。
コンピュータで、何かを検索するときの最も早い計算方法で検索対象を見つけるまでの時間というのは、データ量の対数になるとわかっている。データが10個から100個になったからといって、検索に10倍時間がかかるわけではない。
多くの社会現象が何らかの数式に収まっているということは、いろいろある。数学が出来ないとそこでおしまいになる。
これは数学なんだけれど、一通りやらないと、なかなか見えてこないものというのは色々ある。
だけど、たとえば微積分の概念が本当に小学生に全くわからないかというと、多分そんなことはないと思う。自動車のスピードメーターをずっとグラフに描いていったら、そのグラフで囲まれた部分の面積が進んだ距離になる、ということは小学校でもわかると思う。いま小中学校の塾で教えられることというのは、エジプトの土地測量の小難しい問題みたいなやつばかりで、しかし、勉強すると最終的にこういうことができますよ、というようなことが本当にちゃんと見えているのかどうか。