今回、美味しんぼというマンガが主人公が福島第一原発に行ったことによって鼻血が出た、という描写をしたことなどによって、各方面から批判されている。自分も黙っていてはいけないのではないかと思う。
まず双葉町長がこれを風評被害を助長するということで批判した。続いて福島県知事が批判した。石原環境大臣、森消費者担当相、菅官房長官、小泉進次郎氏などが、相次いで批判をした。
マンガの内容であるが、大まかにいうと、主人公たちが原発に行って鼻血が出た。それで最初医者にかかると、科学的な知見からは放射能と鼻血の関連性はないと医師からはいったん聞いているようだ。そして、その後そのことを前双葉町長に話すと、彼もまた鼻血に悩まされたこと、それは被曝が原因であると考えられることなどを話す。
マンガ自体は、統計調査を出すとか言うことではなく、別にそういう調査を行ったり体験をしたりした人がいて、その人たちの取材を主人公たちが行っているという形式をとっている。決して断定したりはしていない。
森消費者担当相は福島県出身の議員である。野党時代には、住民から鼻血が出たということで相談を受け、国会で当時の民主党政権に鼻血と放射能の関連性があるのではないかと詰め寄ったりしている。彼女は完全に嘘をついていると思う。何も知らないはずがない。
別に森大臣を持ち出さなくても、今でも2011年ごろの鼻血関係のツイッターのまとめなどはいくらでもWeb上に公開されている。いままで人生で鼻血など出したことがない人が、鼻血に悩まされるというような投稿がいくらでもある。あのときそういう情報が氾濫していました。
鼻血と放射能との関連性はないと強弁している医師・学者さんがいらっしゃる。放射線は特別の資格がなければその取扱いをすることができないから、通常は特別に管理された状況下で高い線量の場所を作って、そこで生命体への影響を研究するのだろう。自分はわからないのだけれど、通常は特定の容器にコバルト60のような放射性物質を入れ、影響を受ける生命体が直接強い放射線を浴びることがないように壁を作り、ほんの少しだけ隙間を作って放射線を照射して、一定の放射線の影響を調べるということしかできない。
しかし、今回の福島第一原発事故は全く違う状況がもたらされた。その辺に放射性物質がばらまかれたのである。それは爆発した時風に乗って各地に飛散し、時間とともに地面に降りて行った。ひょっとして泥んこ遊びをすると直接口や鼻の中に入ってくるかもしれない。小泉進次郎氏が福島に降りても鼻の中には入らないかもしれないが、草刈りをしたり枯葉掃除をしたりしたら、あるいは地面に降りて草や葉っぱに付着した放射性物質が再び吹き上がって体に入るかもしれない。
鼻に直接入れば、ガンマ線の線量も大量なものになるだろうし、ベータ線を浴びる可能性もある。通常「線量が高い」というだけでは考えられない環境である。福島の人たちは、その中で暮らさなければならないのだ。そういうことは今までなかったことなのだから「あるはずがない」「証拠を出せ」といわれても過去の研究結果で証明された事例があるはずがないのである。
個体差ということも考えなければならない。小泉氏はたまたま頑強な人だったのである。弱い人もいるかもしれない。もしたとえば通常1万人を調べて3人しか鼻血が出ないような条件で、もし30人鼻血が出ていたとしたらどうだろう。道行く人に「鼻血が出ましたか」と聞いても誰も鼻血は出ていないかもしれないが、それでも10枚になっていれば大問題なのだ。
で、事故直後あれだけ大騒ぎしていて「そんなことは考えられない」というのではなくて「作業従事者、学校、年齢や性別によって2万人ほどの追跡調査を行いましたが、結局有意であるという数値は得られませんでした」とでも言うのならわかる。しかし、今回「考えられない」「風評被害だ」と言っている人が、誰一人ちゃんとした調査を行っていない。
つまり、政府・福島県・双葉町は口裏を合わせて嘘を言っているということになる。私にはそうとしか思えない。
ところが誰一人美味しんぼの肩を持たない。先日ミヤネ屋をちらっと見たら、なんか偉そうな女の人が出てきて、美味しんぼのようなことをすると名誉棄損だなどと言っていた。マスコミも結局美味しんぼを握りつぶすという方向で動いている。
自分としては、帰還できるかどうかによって区域が出来たり、除染が進んだりで、福島は少しずつ復興に向けて進んでいると思っていた。
しかし、ここまで政府がかたくなに嘘をつきとおそうということなら、多分とんでもない危険な事実が福島にはあるのだろうと考えざるを得ない・・・
>そういうことは今までなかったことなのだから「あるはずがない」
>「証拠を出せ」といわれても過去の研究結果で証明された事例が
>あるはずがないのである。
この辺りを読んでみたらどうでしょう?
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/post-3233.html
こんにちわ。
コメントありがとうございます。
しかし、
・・・一度書き始めると、ずっと書かないといけないんですね・・・
実は双葉町自身が2012年にいくつかの大学に依頼して鼻血や体のだるさなどの健康調査を行っていたことがわかりました。
その結果は、双葉町、丸森町で鼻血が出るというのは有意だということになっていました。詳しい情報を載せないといけませんね。
しかし、はっきり双葉町、福島県、政府は嘘を言っているのです。
調査はあった。鼻血が出た人がたくさんいたということは、調査で明らかになっています。
そして、それを依頼したのが双葉町であったということは、美味しんぼの取材は実はかなり正確なものであったということを意味しています。