オクローシカ(окрошка ロシア語ではアクセントのない「オ」は「ア」と発音されるのでロシア人はアクローシカと言っているように聞こえる。)というのは、ロシアの夏にだけ食べられる冷たいスープのことです。
先日松江市さんなどが主体となって、ロシア文化講座・料理教室が開かれ、そこでこのオクローシカとブリヌィ(クレープのようなもの)を作りました。
オクローシカの作り方はざっとこんな感じです。
材料は、全部1cm角に切って用意します。その際熱を通さないといけないものは先に別途準備しておきます。先日はハム、赤カブ、きゅうり、ゆで卵、ジャガイモなどを入れたのですが、ジャガイモや卵などは、事前にゆでておくわけです。
そして、多く食べられているものはクワスといって麦を発酵させたジュースのようなものを使うらしいのですのですが、日本ではクワスがなかなか手に入りません。それで今回はケフィア(菌の種類が違うけれどヨーグルトの柔らかいようなもの)を使いましたが、それらを炭酸水で混ぜるのです。
すごく、なんというか、気になるんですよ。
日本ではなかなか食べられない。クワスやケフィアが一般的でないから。自分はクワスというものはまだどんなものか知りません。トルストイの本なんかには「クワスを一杯くれ」みたいなのは結構出てくるんですけど。ケフィアは菌がネットなどで売れているので、牛乳を買ってきて作ることはできます。実は自分は人に種をもらったのでケフィアは作って毎日少しずつ食べてはいます。だけど、ケフィアの汁は正直飽きる。毎度牛乳の冷スープというのはちょっと難しい。
多分、これは味噌汁だ。つまり、ケフィアもクワスも発酵食品です。発酵食品のスープを水で溶かすのは味噌汁じゃないか。宮崎に「冷汁」という料理がある。味噌汁みたいなものなのだけれど、冷たくて、ご飯にかけて食べるのですが、ロシア風冷汁ではないか?
もう一つの謎は、なぜ炭酸水なのか。講師のロシア人によると、作って一晩おいて翌日食べるそうです。
調べてみると、炭酸水には材料を柔らかくしたり、浸透させたりする作用があるらしい。黒豆を煮るときとか、鶏肉のコーラ煮とかはそういう原理を使っているらしい。
それから、炭酸水中では微生物は生きられないから、ある程度の殺菌は期待できるのかもしれない。
冷たいということによって、たとえばビタミンCのように加熱して壊れる栄養素は保たれると期待できそうな気がする。緑茶も水で出すとおいしいもの。一方、熱することによって味が出るとか細胞壁が壊れて栄養素が出るというような、たとえばキノコやトマトの効果が期待できなくなるかもしれない。
そもそもいつからこんな料理があるのか。ロシアのどこかに炭酸泉があって、当たり前に炭酸水が昔からつかえたのだろうか?確かにヨーロッパで「ミネラルウォーター」と頼むと、大抵炭酸入りの水を持ってきてくれる。ポピュラーではあるのだろうが・・・・でも、類似の料理がヨーロッパにあまり見当たらないような。
それで、先ほど、気になって仕方がなくなって「よし、それでは炭酸で味噌汁を作ってみよう」と思って、材料を細かく切って味噌をとかし、炭酸で混ぜて冷蔵庫に入れてみた。明日食べてみます。まあ、冷えた味噌汁の味がするのだろうが・・・