その、甲状腺がん確定50人の情報、ずっともやもやもしている。
100万人に1人、2人しかいないというのは、自覚症状で早期に調べればもっと出てくるのだ、などという人もいる。しかし、29万人で50人、100万人で170人という数字を考えてみると、日本全国で18歳以下の人は2200万人(この情報はちょっと古いかもしれないが)ほどいるわけだから、この数字が有意でないと言っている人は、全国で一斉に調査すれば3000人か4000人ほどの小児甲状腺がんの患者が見つかるはずだ、と言っているのと同じことになる。
そんな馬鹿な。じゃ、100万人に1人か2人の有病率というのは、何の意味がある数字なのさ?おかしいでしょ?
でも、自分は西日本にいて現地の状況がわかるわけではない。「甲状腺がん50人。あっ、そう。大したことなかったんだね?」そういう反応でいいのか?
これは異常な状況だと思うのです。明らかにおかしなことが起こっているんじゃないか?
福島の若者たちはいったいどうなっているのか。家族は苦しんでいないのか。
何もわからないんだ・・・
本来ならNHKとかが、たとえばクローズアップ現代とかNHK特集みたいなので、緊急取材をして、たとえば匿名でも患者さんやそのご家族にインタビューして、こういう苦悩があるとか、家族でもこういうトラブルを抱えたとか、こういう検査や手術の実体があるとか、そういうことがもっと報道されていてもいいのではないかと思うのだけど、全然ないのだ。
相も変わらず、NHKは夜8時前に被災地に寄り添うがどうのこうの言って、「花は咲く」なる歌を流して、やれあれが悲惨だった、この人が死んだと言っているが、放射能汚染に関することは決して言わない。
しかし、調べてみると3月11日にテレビ朝日系の報道ステーションがそういう内容を伝えたらしい。
だがここでも、報道ステーションには福島県立医大からクレームが入ったりしたらしい。報道ステーションに対して「タブーに挑戦した」と称賛の声が上がったというようなこともWeb上の情報として挙がっている・・・企業の失態、いわば公害で子供がガンになったことを報道して、何が「タブー」なのか、自分にはわからない。福島県民が全滅しなければ災害ではないのか。
ともあれ報道ステーションは、比較的きちんと取材をしたらしい。
なんでも検査結果は一元的に福島県立医大が管理していて、自分の子供の検査結果すら、公開請求の手続きをしないと見ることができないらしい。そして、他の病院に行くと「県からお達しが出ていて、うちでは診察できません」と断られる。県立医大の検査情報も、他の病院には渡されることがない。
美味しんぼで井戸川前双葉町長が、今の福島に住んではいけないと言ったところ、風評被害だといって散々に福島県関係者・政府関係者が批判をしたが、自分の子供がガンになっても検査結果が満足にもらえないような県に住みたいと思いますか?
私は、現地の人のことはよくわからないよ。
だけど、仮に県立医大が何か言ったとしても、県知事が風評だとかなんだとか言ったとしても、ガンになった人は黙ってちゃいけない。あなた方が黙ってちゃ、外にいる人は何もわからないんだ。言ってくれても、自分が、じゃあ十分な支援ができるかどうかわからないけど、たとえば1000円分でも、あるいは10分だけ手を動かす分でも、何かしてあげられるかもしれないじゃないか。
のどを切開したりして、ひょっとしてつらいことなのかもしれない。だけど、そのつらいことがたくさんの人々に起こっているということすら、聞かないと何もわからないんだ。