オークションなどのコメ相場は昨年と比べると倍近く(春時点)になっている。昨年は1袋30kgは7000ぐらいで出ていたのが、今年は13000円が相場だ。
メディアや農協は、このコメ不足は昨年の猛暑に起因するものだから、秋にお米が取れればその値段は下がると言っている。
だが、今年は昨年を上回る猛暑だ。たとえば北海道について、もはや気温が低いからどうこうということは言えない。それに、山形や秋田など東北各地で豪雨の被害があり、こうした土地でお米の収穫は難しいという報道も流れている。
それに、なによりも、やめる農家が著しい。ここから松江に行く間、かつては豊かな水田が広がっていた場所だったが、どんどん耕作放棄地が増えている。
一部の人は米価は元に戻らないだろうといっているが、自分も賛成です。農協の人はなぜあんなに平然としていられるのだろう?
前から農協、JAの買取価格は、農家が赤字になるように設定されている。1袋当たりの原価は7000円以上もする、と言っているのだが、農協の買取価格は1袋5000円とか6000円とかだ。
しかも、農協がお金を預けている農林中金が投資の失敗で1兆5000億の損失を出した。それでも誰も責任は取らない。やめる人はいない。それだけではなく、農協のえらいさんが退職すると、1億からの退職金をもらうんです。
ちょっと横道にそれます。先日雲南市でタウンミーティングという催しがあった。雲南市では10年ごとの計画を定めており、2025年から2034年までの計画をいま策定しているところで、市民の意見も聞こうということです。このとき、第二次総合計画、つまり2015年から2024年までの計画を書いた前の市長さんのときの冊子も配られた。それをぱらぱらとめくっていると、農家の収益の改善計画みたいなのも書かれていた。その数値目標は、自分も記憶で書いているので定かではないが、現状マイナス3億のものをマイナス1億にするというものだった。最初自分はこのマイナス記号の意味がよくわからなかった。でも、要するに赤なんです。農家はどっちにしても赤字ですよ?市役所とか教員とか建設業とか、ほかの産業で稼いだお金をせっせと赤字のコメ作りに注ぎ込んでいるんです。
読者の中には、お米をオークションとか自由市場に出せばいいという人もいるかもしれない。うん、私はそうしている。そうしているが、それは一部の人が言うことで、お米の農家の主力の人は70代以上の人なのだ。インターネットが自由にできる人でもないし、そうして自由にしたとき失敗するリスクもある。長い間農協さんなどとの付き合いもある人だ。あなたが考えるようには彼らはできない。それとも、あなた、田舎の土地を買ったり借りたりしてお米作りを始めますか?
すると、この先どうなるのだろう。
2024年に関する限り、自分で販売する(自主流通米にする)かどうか、農協に託すかどうかはすでに決まっている。おそらく農協が買い取り価格を上げると言っても、1万円になることはないと思う。せいぜい8000円とかそんなでしょうね。一方で市場価格は2万円をつける勢いです。農家は今年は黙って農協にお米を出すだろう。
しかし、農家にも市場価格の情報は手に届く。市場価格は農協の買取価格の倍にもなるのに、赤字でずっと作り続けるのか?
おそらく農家は来年に向けて2つの選択を迫られることになるだろう。一つは農協にはださないということである。ネットとかで売れる人はそうするだろうし、そうできない人は直接知り合いのお宅に販売する。
もう一つは廃業である。世間で倍の価格がついているのに、馬鹿正直に作り続けて農協を肥やす必要があるのか?彼らはこういうところではがめついので、売るときはおそらく市場価格で販売しようとするだろう。しかし、そのときに、オークションなどで売るという選択肢がある人はいい。おそらくおじいちゃん、おばあちゃんで無理だと思うんです。子供さんは東京や大阪などでいい職業につきえらいさんになっている。そうすると、この人たちはやめると思うんですよ。
それで、今農地などがない方は、お庭の一角に家庭菜園みたいなのを設けて、ジャガイモとかを育てておくのがいいと思います。そうすると、いざというときそこで取れたものは多少の足しになるから。