グルジェフの思想の中で、オクターブの法則というのが常に重要な位置を占めている。音楽理論のオクターブは、振動の非連続性を定式化した古代の教えに基づいているのだという。
下はギターの弦の様子を模したものである。第5弦のラの音は110Hであることが知られている。弦の長さは63cmだ。
フレットが胴の上に載る部分が、長さ的に弦長の半分になっていて、それが1オクターブ上のラ、220Hzになっている。さらに半分の長さのところにはフレットがなくて穴の上だけれど、そこで抑えれば音叉と同じ440Hzのラの音が鳴ることになる。ミは大体弦長の2/3、レは大体3/4になっている。バッハ以降十二平均律が一般化して、どこから音階を始めてもまあまあ聞けるように調律されるようになったが、実は音階は周波数の数的調和と密接な関係がある。そして、1オクターブ上がるごとに、振動数は倍になっていく。
グルジェフは、振動は連続的には展開していかないのだという。1つのオクターブの間には、2つの大きなインターバルがあり、そこで方向を変えてしまったり止まってしまったりしてまっすぐに進行しない。その2つのインターバルはドレミでいう半音のある場所にある。
オクターブには上昇オクターブと下降オクターブがあり、上昇オクターブにおいては、ド・レ・ミ・・・と進行していき、下降オクターブはド・シ・ラ・・と進行する。またドやレやミのようなそれぞれの音はまた別の小さなオクターブを内包している。
こうした構造は光の周波数や元素表など、あらゆる現象の中に見ることができるのだという。