少し前ギリシャ語ニュースを聞いていたら、στίγμα(スティグマ)と言う単語が出てきた。ニュースを聞きながら「なんか、聞いたことがある単語だぞ・・・」と思いながら聞いた。
どうも車がぶつかったときにできる「傷」の意味のようだ。お読みの皆さんもうお察しになっていると思いますが、その場で未知の言語と向き合っているその瞬間はそういうことに右から左に思い至らない。
そう、スティグマというのは、英語や日本では一般にキリストが受けた聖痕の意味で使われる単語なのです。車の傷がスティグマかどうか、すぐにはピンとこないかもな。
ギリシャ語ってそういう単語が多いと思う。ヨーロッパ人たちが何か知らない概念をギリシャ語から輸入する。それはギリシャでは一般的な単語なのに、ほかの国ではとても限定された特殊な意味合いで使われてしまう。
トラウマもそうですね。日本でトラウマというのは、災害とか虐待とか何か大きな困難を経験したときに出来る心理的な傷、わだかまり、恐怖心のようなものをいうけれど、τραύμα(トラヴマ)には怪我、負傷などを示す一般的な単語です。
3 νεκροί και 10 τραυματίες (3人が死亡し、10人が重軽傷を負った)
みたいな形で、よくニュースなんかに出てきます。