HARAチェアーのニーチェを買って使っている。6年ぐらいになると思う。
今でも椅子に座っている時間は長いのだけれど、当時は、ソフトウェア開発でとにかく椅子に座って作業をしなければならない。
ところが、背もたれだけついている普通のビジネス用の椅子だと、姿勢をきれいに保っているのが楽ではなかった。長い時間座っていると腰が落ち着かなくなって、どんどん前に体がずれていく。ときどき椅子の上でひざを座禅みたいに組んで作業する。それでも、とにかくずっと座っていることができにくい。作業をやる姿勢を保つことができて楽な椅子、必要があればそのまま休めるような椅子が欲しかった。
すごく高い椅子というのは10万円以上する。必要だから買うのだけれど、それでも自分が出せるのは見比べてみるとせいぜい5万ぐらいまでだろう。値段や機能でHARAチェアにしようと考えた。HARAチェアは座るところ自体が2つになっていて、ばねで中央に向けてへこむようになっている。そうすると、正座するときのように腰がまっすぐ据わってつかれないというのだ。
1年経つ直前に、スプリングのばねが折れた。保障期間内だったので座る部分の部品ごと取り替えてくれた。後で調べると、このトラブルはHARAチェアではよくあることのようだ。それに私は体重が結構あるから、仕方がないのか。背もたれも汗を吸えば時々シャワーで洗濯して干したりしてきれいに使うようにした。
いまや、十分元は取れたと思う。確かに楽ではある。ブログを書くときも深々とこの椅子にかけて書く。
だけど、本当にこれがいいのだろうか。あるときひざが痛くなったが、椅子は関係ないのだろうか。壊れやすいということはどうだろうか。
どんなにやさしい椅子でも、ある意味椅子に体や習慣を合わせていくということは必要だ。
道具、特に姿勢を左右する道具というのは、複数の人が継続して使って始めてその価値がわかる。ベッド、布団、枕、便器、机、テーブル、座布団こうしたもので、これならいい!というものの判断というのは、本当に難しいと思う。
中東やヨーロッパでも何かの拍子で古い便所が残っていれば、それはいわゆる洋式便座がない。洋式便所は新しいものなのだ。あれに何世代も座っていたらどうなるか、というのはわからない。洋式便所のおかげで痔が増えているというようなデータが出る可能性はあると思う。
枕も変わったもののひとつだ。時代劇なんかでは、木の高い枕を殿様なんかが使っている。私もそもそもの枕には小豆が入っているもの、という感覚はある。今の枕がいいかどうか、よくわからない。
そういうものの効果というのは、長い時間がないと検証できない。長く使っていたら、思いもよらない影響があるかもしれない。使った人がいろいろ自分の意見を言っていくのがいいと思う。