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古典語と違う単語

ほかの言語でそういうことはあんまりないかもしれないけれども、ギリシャ語の場合現代語より古典語・コイネーを学ぶ人のほうが多い。教科書にもいろいろギリシャ語が出てくるし、学術用語などにも「もとはギリシャ語でこういう意味です」などという注釈があったりする。

現代語をやっていて、時々困るのは、古典語と違う単語が使われているケース、あるいは古典語の単語が全く違う意味で使われているケースだ。日本でクイズ番組に出てくるような物知りの人が知っているような「これはもともとギリシャ語でこういう意味です」みたいなのが、通じないケースはよくあるのです。

 

ένταση(エンダシー)という単語は毎日ニュースで見かける。これは古典語でいうἔντασις(エンタシス)、つまり法隆寺の柱が真ん中で少し膨らんでいるあれですね。強調とかそういう意味だと習っている。活用が現代語の規則は違うので、多少語尾が違うけど、同じなんです。

しかし、ニュースでἐντασηが出てくるのは大抵「緊張が高まっている」とか「騒ぎになった」的な文脈の中で使われます。デモ行進があってすごく警官隊と激しくやりあって緊張が高まったとか、トルコ軍がギリシャ領の島の上に航空機を飛ばしたとか、そういうような局面で使われるのがἐντασηで、法隆寺の柱のふくらみとはずいぶん違う。

 

έργο(エルゴ)もちょっと戸惑う単語かもしれない。エネルギーという言葉がありますけど、en+ergoで、働きを起こすもの、ということで、エルゴは働きという意味ではあります。が、英語のworkもそうですけど、「作品」とか「曲」みたいな意味で使われます。

 

馬は大体ヒッポスἵπποςだというのは、動物のことをやっている人は大体習っていると思う。カバはヒポポタモス、つまり川の馬だとかなんとか、図鑑を見ていてうんちくを覚えた人は少なからずいると思う。

ぴちぴちピッチのキャラクターでヒッポ君というのが出てきて、彼はもともと馬の頭に羽と魚のしっぽが付いたみたいな生き物で、明らかに「馬」を意識しているわけですが、ギリシャ語で彼に関して「馬じゃないぞ」みたいなことをいうときには

άλογο (アロゴ)

という単語を使っている。ίπποςが現代語で使われないというわけではないのだろうけどάλογοのほうが一般的なんでしょうね。

 

 

自分がやった記憶に残る間違いはαυτός(アフトス)です。これ、いわゆる日本語になっている「オート」なんとかのもとになった単語です。古典語では、自分で、自ら、という意味だったので、オートなんとかといえば自走するとか自動だとかそういうことに転用されるようになった。実際「αυτός, δέσποτα」(主宰や、汝自ら)みたいな祈祷文があって、今でも使われている。

しかし、今では自分自身という意味ではなくなって「彼」「それ」みたいな代名詞になってしまっている。自分自身というのを表現する場合には、「ο ίδιος του」(オ・イジオス・トウ」みたいな別の表現をしないといけないのです。自分はそれはわからなくて「自分で」というのを「アフトス」と言ったら、相手はきょとんとしていた。幸いにして相手が学のある人で、「どうやらこの日本人は自分自身という意味で言っているぞ」と理解してくれた。恥ずかしいことです。

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