今年年賀状を作ろうとして、Wordにはがき裏面ウィザードがないことに気が付いた。
これは、以前のWordにはあったのです。
まずはがきの種類を選ぶ。年賀状か、暑中見舞いか、そのほかか、みたいなので。
続いて、年賀状の場合はタイトルや挿入する干支のイラストを選ぶ。5つぐらい選べるイラストがあらかじめ用意されています。
続いて文例から挨拶を選んで、最後に差出人情報を書くと、ある程度ちゃんとレイアウトされた年賀状が出来上がる、というわけです。
ところがWord2013以降は、その機能は使えない。
そもそも、クリップアートという機能がない。Wordが持っているイラストというのはなくて、画像はすべてWebから検索して挿入するようになっている。だけど、これらの画像がライセンス的に問題ないものかどうかは確かでないのです。
Webに接続して年賀状を探すこともできる。数通ヒットする。しかし、その図柄は、多分誰かが一回使ったやつだと思う。大抵の年賀状テンプレートには「2016年年賀状」などと書いている。誰かが一度使ったのを登録しているわけだ。
たとえば梅の絵の描いた斬新な年賀状があった。確かにデザインは斬新だ。だけど、その年賀状は去年別の人が使ったかもしれないわけで、届く相手先にしたら、「去年はAさんからこのデザインできたのに、今年はBさんから同じ柄で来た」というのでは面白くない。
ウィザードだってワンパターンだけど、大まかなデザインがかぶったところで、去年は酉年の年賀状、今年は戌年なんだから、まあ許されそうなものじゃないですか。
クリップアートということでいうと、Word95、97ぐらいの時代には、具満タンにある、ある程度日本らしい制服の事務員が「こちらです」というように案内をしている画像や、背広のビジネスマンが夜遅くまで残業しているイラストなどが収録されていた。これだって画一的と言えばそうなのだけれど、とても使いやすかった。
ビジネスで使えるイメージ画像には一定の条件がある。その制服の女の子が新垣結衣だったら魅力的かもしれないが、そこにはライセンス的な制限がある。あまり砕け過ぎず、特定の人物と把握できず、一般的な社会で共感を得られるイラストである必要がある。
それが、なかなかないんですよ。
ところが当初のワードにはそういうイラストがついていた。
やがて、OfficeもXPなどに進化し、そういう日本のビジネスシーンを描いたイラストがなくなったと思ったら、やたらバタ臭いパッと見いかにもアメリカ人みたいなイラストとか、真っ黒の陰だけの人物が状況を表現したもの(ブラックビーンズかなんか呼ばれていたと思う)とか、もっと極端に抽象化された人物のイラストなどになった。
本当はここで制服の新垣結衣にびっくりしてほしいが、その絵がアンジェリーナ・ジョリーかキャメロンディアスみたいな人になっても、まあいいか、ということで使えていた。
そして、そうしたバタ臭いイラストも今はなくなった。
クリップアートがあったときは、キーワードで検索してイラストを探すことができた。今はそれもできない。ネット上の画像を探す機能はあるが、そのライセンスは定かではなく、ビジネスイラストとしての品質も満足できるものはあまりない。
それどころか、文書を保存するのすら、いままでの倍の手間がかかるようになった。以前は保存すると言えば、最初からWindowsのエクスプローラーちっくな保存ダイアログが出てきて、名前を付けてOKするだけで保存できたが、今はローカルパソコンなのかネット上の場所なのか、最近使ったフォルダなのか何なのかを散々選んだうえでないと保存できない。
ざっといって、Microsoft Wordという商品を初めての方が買ってできることは、どんどん狭まっていると思う。はがきならはがきを作るためにWordを買うとしても、単に買っただけでは多分使いこなせない。また以前簡単にできていたハイカラな社内文書を作るためにはWordのほかにあれやこれやのイラスト集をあさらなければならないのだ。
なんか残念のような気がするなあ。