今回の原発事故について考えていた。
震災自体は自然災害である。これについて、多くの被害は出たけれども、日本人は良くやったと思う。気象庁はちゃんと津波発生前に適切な予測をした。大阪のマンションで揺れを感じてインターネットを見たときに、すでに気象庁は20mというような警報を出していた。津波は結果として堤防を越したが、それでも人間の力が大きな堤防として立ちはだかっていて、津波の死者は3万人に届いていない。これはすごいことだと思う。
しかし、原発事故では理不尽なことが続いている。
関係者は事故直後に燃料のメルトダウンをみな分かっていた。電源が失われて燃料が冷却できなくなれば、核反応がとまっていても崩壊熱でメルトダウンがおき、時間とともに水素爆発が起こる。なのにそれは発表されなかった。
3号機は閃光を伴って爆発し、黒いきのこ雲をあげた。単なる水素爆発ではない何かが起こった。そして、多くの人々の尽力で設置されていたカメラがこの瞬間を捉えた。この衝撃的な映像が全世界に放映された。 ところがこともあろうに、この映像を撮影した人は左遷された。各メディアは大震災の一周年記念番組を作って、「あの日を忘れない」だとかなんだとかカッコいい名前をつけながら、この映像は決して流さなかった。「この日は覚えていてもらっちゃ困る」といわんばかりだ。
ほかの事故や自然災害ではメディアは死者やけが人の数を詳細に繰り返し報道する。だが、原発事故の死者は報道されない。 死者が出ている。たとえば双葉病院の患者さんは、原発事故がなければ別の場所に避難のために移動する必要はなかったし、医師がいない環境に取り残されることもなかった。死因こそ明確になっていないが、原発事故がなければしななくてもいい人が数十人死んだ。 原発での作業に従事していた人も死んでいる。これも、放射能によるものと決まってはいない。だが作業に従事した人が死んだことは多くの人が知っている。 ところが、報道機関は決してこれらの死者のことを報道しない。
はっきり言えば、NHKは東北を見捨てたと思う。なぜ真実を報道しない?あの日を忘れないなんて都合のいいタイトルをつけて、なぜ覚えているべき映像を流さない?
原発問題に関しては、あらゆる理不尽なことがまかり通っているように思う。なぜなのか?
ところが、ふと私はその原因が分かったような気がした。(続く)