ご依頼を受けて星を見る。さまざまな問題がある。が、そのことが少しイメージできるようにどういうことが起こっているのか、ちょっとご参加いただくことにしましょう。
ここに架空の人物Mr. Sampleを用意しました。この人は1970年1月1日0:00に私の居所でお生まれになったとしています。実際にはそんな人物はいません。
さて、この人から依頼が来ました。
今年の運勢は、1970年から44年後の出来事、ということになるので、1日1年法では44日後のホロスコープ、つまり2月13日0:00のホロスコープを作ることになります。
プログレッションでいろいろ注目すべき点はあるだろうが、これは必ず当たる、大きな内容として見ておかなければならない、というのはASCの位置で示される内容である。この人は、出生時には天秤の6度29分にASCがあったわけだが、今は蠍の11度26分に来ている。
一つは、多分一昨年ぐらいにぐらいにこの人のASCは蠍の10度の位置の時があった。ASCがサインを移るときには、大きな転機というものが考えられるわけだが、10度の区分を過ぎるときにも、きっと何らかの変化が起きている。これはサインを9分割したときには、乙女から天秤に移っている。この人は何か労働をすること、こまごまとした事務作業やコンピュータのこと、裁縫とか、介護とか、おとめ座でイメージされることをそれまでやっていて、1年ちょっと前に視野が開けるような、コミュニケーションがひろがるような変化があったに違いないのである。
次に、ASCは今年火星とトラインになる。この人は、何か今年一生懸命になれるような、争いごとに勝つような、何かの出来事があるはずなのだ。
では、具体的には何が起こるのだろうか。依頼者に回答するにあたって、私としては、出来るだけ具体的な内容をお答えする必要がある。
それを導き出すのは、基本的には推論なのである。
まず、出生図を最初にきちんと見ておかないといけない。第6ハウス魚に火星があるということは、この人が激しい労働に従事するということかもしれないし、熱の出る病気にかかるということかもしれない。第4ハウスの太陽とセクスタイルになっているということは、その労働が楽しい家庭をもたらすうえで重要な役割を果たしているのかもしれない。そのように出生図をきちんと見ておくと、この人にはこういうことが起こりそうだとか、こういうことは起こらないだろうな、というようなある程度の目途が立てられる。
あるいは、ASC蠍10度から読めること。ホラリーの結果。いろいろなことから、多分こんなことだろうな、ということを詰めていくわけだ。
だから、これは霊感とかじゃないんですね。だけど、これが本当にいいかどうかはまた別の話です。
それが何であるか推論していくためには証拠が沢山あればいい。それを推論するためのデータが多ければいい。ではたとえば、他の占術を使って、その内容を絞っていくというのはありだとは思うのである。
ただ、そのほかの占術をするためにどれぐらいの時間や手間がかかるかが問題だ。もしあまりにも沢山の占術があって推論するだけだと、それだけで頭の中がいっぱいになってしまうだろうと思うのだ。引き出しがたくさんあるのは、実は両刃の剣で、袋小路に入っていくようなものではないか?