地蔵参りという風習はどこにでもあるのだろうか。またそう呼ばれている風習はどこでも同じなのだろうか。
地蔵参りという風習がある。
地蔵さんというのは、お釈迦様の入滅後、次の世で弥勒菩薩が成道するまでの間、この世を守り導く菩薩である。倶舎論がもとでしたかね、インドの昔の考え方で、死後7の倍数の期間で人間は生まれ変わる。それが一般的には7日の7回で四十九日と言われている。7日ごとに法要を行い、四十九日で次の生を受ける、ということになっている。その生まれ変わる先は六道といわれ、神、阿修羅、人間、畜生、餓鬼、地獄のいずれかで、その六道に対応して六つの地蔵さんが建てられる。
それで、私たちの地域では人が死んで葬儀を行ったあと、7日の区切りで戒名を書いた札を用意し、六地蔵のあるところにその札を貼って歩いて、亡くなった人が迷うことのないようにお願いするのである。もっとも浄土真宗については、人が死ぬとただちに弥陀の本願によって極楽浄土に生まれ変わることになっているので、また違う風習になっている。大方が簡略化されてしまっていると言っていいと思う。
実際に行ってみると、昔からあまり意識したことのないお店の裏とか道の角とかどこかの峠だとかお寺の一角とか、結構いろいろなところに六地蔵がある。そして、誰かしらその札が貼り付けられている。地域でたびたび死者はあるのだ。そういう方たちが次々とお札を貼っているのだろう。
・・・このことだけ書いてみると、ただの風習の紹介で、「だからなに?」って感じですね。だが、言いたいことはそうじゃないんだ。
ただの戯言、単なる迷信とも思えないのである。別に本当に四十九日で転生するかどうか、私はそうとも言えないのではないかとは思っているのだ。だが、そういう仕方で死者とつながりを持つということが、リアルに感じられる出来事があると言えばあるのである。
しかし、このことについてはまた時期を見て書くことにしよう。