ぴちぴちピッチの30話の中で、悪玉のガイトの手下の4人組と、新しくメンバーに加わったブラックビューティーシスターズの反目が顕在化する。ブラックビューティーシスターズは自分たちのような能力のない4人組をガイト様の前で辱める。
そこで、その場から離れた後、日本語では4人組のひとりのユーリがブラックビューティーシスターズのことを「あのおばさんたち」と呼ぶ。イズールが「あいつら、まだ若いじゃないか」というと年の若いユーリは「ユーリから見ればおばさんですわ」と返す。
この「おばさん」だけど、日本語でおばさんに相当するような、ちょっと年のいったやつを揶揄する言葉がギリシャ語にはなかったのだろう。κύρια(キリア)といえばそれなりに尊敬した言葉になってしまうし。そこでギリシャ語訳では
μάγισσα (マギサ) 複数形μάγισσες (マギセス)・・・魔法使い
という言葉が当てられている。魔法使いにはおばあちゃんという意味があるのだろう。
μάγισσαは女性をさす言葉で、男性の場合はμάγος(マゴス)になる。
ここではμαγεία(マギーア)という言葉も出てきていて、これは魔法とか魔術という意味になる。イズールの突っ込みも「別に魔法らしいことはしてないじゃないか」と変わっている。
似たような男性女性の別のある単語で、たとえば占い師μάντης(マンディス)に対して女性はμάντισσα(マンディサ)というようなのもある。
だけど、このマゴスという単語、皆さんどこかで聞いたことないですか?
そう、キリストが生まれた時に東方から3人のマゴスがやってきた、というあれですよね。それから、英語で手品や魔法を表すMagicの元の言葉です。マゴスはもともとゾロアスター教かあの辺の僧侶のことをさす言葉だとか言われていて、日本語に訳されるときは「博士」だとかなんだとか訳されています。
でも、要するに彼らはいまの感覚でいうところの魔法使いだったわけですよ。教会は魔女狩りをやっちゃったり、いろいろあったから、彼らのことを「東方の三人の魔法使い」と訳すわけにはいかなかったんでしょうね。