自分は幼稚園から小・中学校の時美術は良い点だった。なんだかんだ賞をもらった。だけど、主にこれがいいと思えるものは、風景とか静物だったと思う。
年賀状を書くときは、毎年干支の絵を図鑑を見ながら練習したりした。蛇なら蛇で、馬なら馬で、生物の図鑑を出してきて描いた。高校になって油絵が授業に入ったりしたけど、それもすんなりこなすことができた。
だけど、人物というのは別なのです。人物である動作、ある所作を描くのはとても難しい。そこには人物独特の寸法や形があるし、またそこには微妙な表情や動きがある。その絵を見れば、感情が伝わってくるわけだ。
今マンガを描く人は、大体人物はこう書けばいいというのが出来上がっていると思う。これぐらいで、こう。これでいける。みたいな。彼らはそれをどう描いたらいいかという方程式をある程度持っているわけだ。仮にそれが誇張されたものであったにしろ。
それで、突然思いついたのだけれど、そういうことなら、自分の各寸法を測ればいいんじゃないだろうか。手の各関節の長さ。顔の高さ。幅。目と目の間の距離。頭の上から正面で目がどれぐらいの位置にあるか。そして、一度測って正確な寸法を知っていれば、必ず正確な人物像が描けるはずだ。
そうだ、そうすればいい。
小学校の1年生で学校に入った時に、図画工作の時間に「はい、じゃあ、30cm物差しを使って、お隣の友達の顔の長さを図りましょう!」と言ってもよかったはずだ。目の高さ。鼻の高さ。口の位置。こうしたものが何センチかわかっていれば、驚くほど正確な人物の絵をみな描けたかもしれない。
なぜその時にそう思わなかったのだろう?そして、もしそういうことをしていれば、違うことに気が付いた可能性もある。この寸法とこの寸法は離れていても呼応しているとか。こういう寸法の人はこういう気質や性質があるとか。