ギリシャ人は色が完全に変色するまで菜っ葉をゆでて食べる。日本から結婚して向こうに行った人などと話をすると、もう少し色合いを残してお浸しみたいにゆでればいいのに、と話し合ったのだけれど、ギリシャ人はとにかくよくゆでたがるのだ。
多分アメリカでも元々はそうで、ポパイが食べるようなほうれんそうの缶詰などは完全に変色していて、日本の感覚ではたべられたものではないらしい。マンガでも作って無理やりプロモーションしなければ、売れなかったわけだ。
そして、そのゆでた野菜に、山羊の白チーズをのせて、塩で味をつけてレモン汁をかけ、オリーブオイルをかけて食べる。
日本では醤油と鰹節かゴマか何かが定番だろうけど、西洋には醤油がなかったわけですからね。
自分は以前はあまりテレビを見なかったが、今は家族がテレビを見るので日常に溶けこんでいる。すると、断片的に見ているそういう情報から、実はこの食べ方はとても理に適っていることがわかってきた。
ホウレンソウのような菜っ葉類にはシュウ酸という物質が含まれている。これが口の中でも苦みとして感じられるし、カルシウムと結びつくと体内で石になって、結石などの原因になるらしい。これを防ぐためには乳製品と一緒に野菜類を取るのがいいということになる。
昨日、「ためしてガッテン」という番組で・・・(ちなみに、この番組で本当になにかを試してガッテンしているかどうかは疑問だ。まるで医学新発見をお伝えします、みたいな番組になってしまっているように思うのだが。)・・・鉄不足がウツやイライラの原因になると報じていた。しかし、野菜に含まれる鉄分は酸化鉄の成分が多く、体に吸収されにくい。体に吸収されるようにするためには、レモンなどをかけてビタミンCを補うのがいいらしい。
オリーブオイルがどうかはわからないですけどね。少なくとも単体での健康への効果は近年多くの人に認識されているところです。
だから、よくゆでたホウレンソウにチーズをのせてレモンをかけて食べる食べ方は、実は完璧なのだ。
もっとも、そのことをギリシャ人に言うと、「何をいまさらそんなことを言っているんだ、いいに決まっているじゃないか」みたいなことを言ってくるから、ちょっと腹立つけどね。別に彼らは最近の学者の片棒を担ぐためにそういう食べ方をしているわけじゃない。彼らの世界では別にレモンもオリーブもチーズも、日本人の醤油や豆腐みたいなもので、めずらしいものじゃないからね。