何年もテレビのない生活だったのだけれど、田舎に帰るとみんなテレビを見る。
文明もの、世界の遺産をめぐるような内容のもの、そういうテレビ番組は、面白いのだけれど、必ず片手落ちだ。
つまり、未開の人間が、発展してやっと文明を持った現代人になった、ということだ。科学はこう発達した。経済はこのように発展した。最新のシミュレーションで気候はこうであった。生命科学でこういうことが解明された。
別にいいだろう。
だが、神殿はどうなのか。
ウルに神殿はなかったのか?いいえ、最初からジグラットがあった。
エジプトはどうか。あったよ、最初から。
科学や経済が発展して、富が権力者に集中して、彼らは市役所と税務署しか作らなかった。ホンマか、それ?そして、その後に劇場とカラオケとスポーツセンターを作ったのか?
いいえ、まず神殿は建てたはずだよ。文明が始まるというのは、実際にはまず神殿が建ったはずなんだ。
だけど、テレビは必ずそれを無視する。テレビだけではない、現代の文明や学問は最初に神殿が建ったということだけは無視する。
最初に神殿が建った。最初に占星術が始まった。文明が発展した、といいながら、グレゴリウス暦を超える暦が一般化したわけでもない。最初にあったものを、人間は何一つ超えていない、と思う。