日本でぴちぴちピッチというアニメが好きかどうか、興味があるか、というのはどうやらこの「オーロラの風に乗って」という曲が入口になっているらしい。とはいえ・・・よろしければ・・・まずはギリシャ語版をご紹介したい。

Ξημέρωσε και είναι μαγικά (είναι μαγικά) 夜が明け、魔法のよう
Πλημμύρισα με αισθήματα γλυκά 甘い気持ちが充ちた
Σε έναν ουρανό τόσο γαλανό (τόσο γαλανό) 空があまりにも青いから
Τώρα εύχομαι για μια στιγμή να ήσουνα εδώ あなたがここにいたら、そういう瞬間を願った

Ξέρω δεν μπορεί να ‘ναι αληθινό それは真実ではありえないと知っている
(Είναι του μυαλού σου παιχνίδι) (単なる心のお遊びに過ぎない)
Έτσι όμως μπορώ κοντά σου να ζω それでも私はあなたの近くで生きることができる

Στο αεράκι το δροσερό τα όνειρά μου τώρα πετάνε 冷たい風にわたしの夢は歩む
Αγγίζουν τον ουρανό και ‘σένα μόνο αναζητάνε 夢は空に近づき、あなただけを求める
Αυτό που επιθυμώ κάπου στα άστρα θα ‘ναι κρυμμένο わたしが望むものはどこか星々に隠れている
Θα φτάσω ως εκεί κι εγώ κι ώσπου να πεις σε περιμένω あなたが「待っているよ」と言ってくれる場所にわたしも到着するだろう

物語的にはこういうことになっている。この歌を歌っているのはカレンという南極海の人魚の姫で、北極海の人魚の姫のノエルさんと双子の姉妹ということになっている。ノエルさんは北大西洋の人魚の姫のリナさんと敵に追われて逃亡するのだが、ノエルさんはリナさんを逃すために敵につかまってしまい、カレンさんは少しそのことを根に持っている。主人公たちより3歳ほどお姉さんで、歌もパワーがあり、主人公たちが危機に陥った時にさっそうと現れて主人公たちを救うが、一緒の行動を拒み、単独でノエルさんを救おうと奮闘する。とても勝気な人魚ということになっている。

日本語でもギリシャ語でも、その勝気さみたいなのはある程度歌にも現れている。自分はせっかくのお姉さんなのだから、もっと朗々と声を響かせることができる歌をあてがってあげればいいと思ったし、ギリシャ語版でも決して他の人魚に比べて「うまい」という感じには聞こえない。だけど、所謂パンチのある歌にはなっていると思う。

歌詞も、日本語の歌詞を後でご覧いただいたらいいと思うが、大まかな意味を踏襲している。例によって日本語でわけのわからない英語を挟んでいる場所にもちゃんとギリシャ語を入れている。

ここについているコメントの多くが「τέλειο」(完璧！)、「λατρεύω」(文字通りには崇拝するという意味だが、アイドルが好きというような場合によく使われる表現)、「μ’αρέσει」(好き)というようなコメントで埋められている。この勝気な単独行動の人魚はとても愛されるキャラクターなのだ。

さてそれで問題の日本語バージョンなのだけれど・・・

デスボイス、深海のジャイアンとか、大体ひどい言われようです。
大まかな判断として、このパンチのある歌に対して、なるほどこういう声質もありかもしれないとも思う。ご本人もキャラクターに合わせるように無理をした、みたいな話はあるみたいだが、程度の問題はあると思うなあ。パンチがあってももう少しうまい人を当てることはできなかったのだろうか、という気はします。
しかし、これも聞いていると癖になる人がいるらしく、またネタとして「深海のジャイアンを聞いてみたい」という動機で、このアニメに来る人もいるらしい。