占星術については、よく「カルマの通り道」みたいな言い方をされる。カルマというのは、業とか訳されますけど、因果応報で過去に悪いことをした因が悪い結果をもたらすみたいなことです。
教会なんかはよく「占星術を信じますか、それとも神を信じますか」みたいな言い方をするけど、占星術が絶対でもないし、信じるようなものでもないと私は思います。単にそういう法則があるというだけです。
私がここでホロスコープを作って、最近は交通事故が多いですね、最近は火事が多いですね、最近は殺人事件が多いですね、それを裏付ける星の並びがありますよ、と言ったとしても、では日本中の全員が、あるいは富山県なら富山県の全員が、一斉に殺人をしたり、一斉に交通事故をしたり、一斉に富山県中の家が燃えたりするわけではない。
で、そういう場合東洋の言い方では、殺人のカルマがあります、交通事故のカルマがあります、的な言い方をするわけです。前世に悪いことをしたのか、ご先祖様が恨まれたのか、生まれつき何か悪い因をもって生まれてきて、つい暴力沙汰を起こしやすいとか、性的事件に巻き込まれやすいとか、そういうことがある。
で、この人はそういう事件を起こしやすいという人がいたとしても、その人も毎日毎日殺人事件を起こしたり車をぶつけたりしているわけではない。その特定の日というのは、たまたま起こってしまうと、たいていはほかの人もそういう事故を起こしやすい日だったりするわけです。
さらに、そういう悪い業を持っている人でも、その業を逃れる可能性もあるわけですよ。信仰があって「何とか守ってくれ」云々でお願いをしていたら、目の前で事故を起こす人の寸前で止まったとか何とか、そういう話は皆さんお聞きになったことがあると思います。
つまり、何かあるとしても、ものすごく単純な法則のみがあるわけではないということ。「さ、あいつを殺そ!」なんて事件を起こす人は誰もいませんよ。神というものを認めるにしても、そこまでの間に自分の思い通りにならない様々な法則はあるわけですよ。