自分は次男だったし、自分の時代は勉強ができれば都会に出ろ、というのが当たり前だった。
都会では人々のつながりが希薄だ。
男女が友人の場合は、別に友人でいいし、同じ会社内で一緒に働いていれば同僚で良い。しかし、もしいったん男女の関係になると、元の関係にもどるのは難しい。あいつは彼、あの子は彼女だ。
そのまま結婚まで行ければいい。それはそれでめでたいことだ。
しかし、もしそれが壊れてしまうと、たとえば片方が会社を辞めたり、場合によっては引っ越したりというようなことも起こる。
都会では、以前の彼氏・彼女にあまり顔を合わせないように、そこそこ生活することが可能と言えば可能だ。違う区に住んでいて、それぞれが電車で別々の場所に通勤する。大きなショッピングセンターに行ったときに半年に一回ぐらいちょっと目にするぐらいなら、少し気まずいぐらいで済む。
最近いろいろ考えたり見聞きしたりしてふと思ったのだけれど、ここではそれは難しい。
地域の人の間では、誰がどこの人で何をしているのか、町中の人が知っている。そうした中で、なんとなくいい関係になって、たとえば寝ちゃった!というようなことになったとして、結局ダメだわ・・・ということになったとしたら、その人は多分どこか遠くに行くしかない。
なくはないんですよ。不倫してどこかに出て行った人の話しみたいなのはないことはない。でもとてもそれはめずらしいケースだ。
閉ざされたコミュニティの中で、男女が「やっぱりダメだった」ということがないようにするには、親とか親族とか全部一応話をまとめておいて、あれもこれも路線を決めたうえでお付き合いしてもらうということにならざるを得ないだろう。
つまり、見合いだ。
結局この「閉ざされたコミュニティで失敗したケース」というものを考えた場合、初めて、なぜ田舎は昔は見合いだったのか、自由恋愛ができなかったのか、というのがわかるような気がします。
田舎って、難しいところだね。