2月10日時点で、国連人権高等弁務官事務所はウクライナでの民間人の死者は少なくとも564人にのぼると発表した。
これは「少なくとも」であって、最大の数ではない。マリウポリでは市の当局が逃げ場を失った市民が1582人犠牲になったと発表している。
ただ、これはウクライナ側の発表である。ウクライナ政府は民間人に「逃げるな。戦え。」といい、小銃を各戸に配っている。銃を持ってしまえば、それを民間人ということができなくなるかもしれない。
人道回廊が双方の協議でできたわけで、それぞれが民間人の被害をなくそうと努力をしているとみることができるが、そこで「やっぱり被害が出ました」というプロパガンダをすれば自国に有利になる。
それにウクライナ側は、ロシア軍が侵攻する以前に内部で戦闘を行った可能性がある。そもそもウクライナは内戦状態だったわけで、ウクライナ側が殺害した可能性もある。
しかし、それやこれやを入れて、報道からはおそらく数千人~1万人ぐらいはなくなっている可能性もあるように思える。国連のほうは「銃を持った人を民間人と考えていいか」とか、厳しい判断を強いられて564人と発表しているのかもしれない。
それにしても、だ。自分がイラク戦争の時にテレビで聞いたのは、一晩に2万人の死者が出たということだった。おそらくこの時だと思う。
このときもラムズフェルド国務長官は「対象はイラク軍であり、一般市民ではない」と言ってはいる。言ってはいるが、「前例のない規模の戦力を目にすることになるだろう」とも言っており、実際に夜空を焦がす爆炎は今回のウクライナの比ではない。最終的にWikipediaでは10万人がこの戦争で犠牲になったといっている。
ウクライナではロシア軍が軍事作戦をする前から内戦が8年間続いていた。それについてはWikipediaにまとめられている。
総計で死者13,200人、民間人の死者3,367人とまとめている。
正直言って、ウクライナ軍の攻撃で、いままでも散々死者が出ているわけですよ。
思うに、テレビであれこれ言っている谷原さんとか橋下さんとかは、私よりだいぶ若いのであり、「イラクの時2万人死んだじゃないですか」といってもピンとこないのかもしれない。
でも、数字って大事じゃないですか。たとえば今日本が当事国になったとする。自分はあんまり東京の土地感覚はそんなに詳しくないのでは、たとえば大阪で爆撃や戦闘があったことを想像してみる。もし中之島に爆撃があり外国の軍隊が、そうメディアがロシア軍に対して盛んにいっているように「市民を対象に無差別に」攻撃をしたらどうなるか?いや中の島でなくてもいいです。梅田でもいいし、もう少し離れたたとえば十三のあたりでもいい。
半月の戦闘、無差別の攻撃で民間人の被害者567人?おかしすぎないですか?
先日東京大空襲を経験したおじいさんが出てきて、「日本でもかつてそういう事があった」と言っていました。だけど、東京大空襲では一晩で10万人死んでいるんです。ロシア軍はそういう殺戮行為をしていないんですよ。
それで、イラク戦争の時にテレビを見て「あれ、ひどいなあ!」と思った50歳、60歳の人は声を上げてほしい。これはおかしいですよ。なぜこんなので、あれもこれもなし崩しにして防弾チョッキのような装備品を送って、いわば「参戦」してしまうんですか。これを見たイラクやアフガニスタンの人々は「あっ、日本は要するに平和主義というのは口だけで、アメリカの顔色を窺って参戦するのね?」と思うでしょう。