第一生命のサラリーマン川柳コンクールの今年の大賞が発表されたそうで、
「退職金 もらった瞬間 妻ドローン」
なのだそうだ。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/29th/best_10.html
ちなみにこれが選ばれるのは、一般の方の投票のようで、誰かが密室で勝手に選んでいるわけではないらしい。
だけど、自分はすごくこれには違和感がある。
一般にサラリーマンの悲哀を謳った、みたいなのが大賞に選ばれるのはわかる。
少し前に仕事一筋で生きてきた男が退職して何をしていいかわからず、妻についていくさまが「濡れぞうきん」などと揶揄された。これ、切実な思いだよ。
しかし、その濡れぞうきんというのも、「終身雇用」「高度成長」「安定した退職金」「専業主婦」のような、今となってはぜいたく品のような価値観から生まれた概念で、たとえばロスジェネと言われた、ろくに就職もできずに必死で人生を開拓してきたような世代の人には「この爺さんたちは何を言ってるんだろ?」というようなことだと思うんだ。
だけど、退職金をもらったとたんに、それをせしめて妻がドロンしてしまうというのは、もうそういう範疇を越えて、一種の犯罪だよね。
ドロンって、どこに行くの?外国?それをやったら裁判沙汰・刃傷沙汰じゃないの?
句そのものは「高度成長時代」「安定サラリーマン」「終身雇用」「専業主婦」的価値観なのだけれど、ほっこりできるところというか、リアルさがない、まるで富士山を見たことがない人が本歌取りで作った歌みたいな感じだ。
サラリーマンの悲哀というけれど、それは妻の尻に敷かれているとか、実家の関係で止むに止まれずやっているとか、そういうことならわかる。でもそこで、そういうつらいこともあるけど、なんとか家庭に収まってるし、子どももいるし、なんとかかんとかやっていけるというベースがあるから「サラリーマンの悲哀」だと思うんです。
完全に夫というものを裏切って、その価値を否定して、金を持ち逃げするような行為に「悲哀」が感じられるだろうか?そこで「誰もがそういうことに共感する」とか、一歩下がって「そういうことが起こるんじゃないかと危惧する」というのであったとしても、なんか納得できないんだよなあ。
世の中の男性、女性の皆さん、本当にあなたたちはそんなこと考えているの?いろいろあっても、旦那が妻の尻に敷かれていても、退職金で争っても、夫婦は仲良くやっていく、みたいなことはダメなわけ?あるいは、逆に、リアルに熟年離婚で「退職金 半分せしめて 離婚届」みたいな感じの句ではいけないのかなあ。
なんだか悲しい川柳ですね。
夫は、長い間、色々な事を乗り越えて働き、やっと定年の日を迎えた。夫は、、きっと妻は、それを
労ってくれ、今夜は祝宴のテーブルでも用意して囲もうと思っているだろうか?
妻は、退職金を半分もらって、これから自分の人生を生きようとか思っているのだろうか?
(昨今のテレビなどで、夫の退職金は、半分は妻のもの、などとやってるものだから、その気になるのだろうか、) しかし、何一つ我慢しないでやっていける結婚生活ってあるだろうか。
まず、会話の足りなさ、そして、なんと幸せなことでしょう。夫の退職金を半分もらって、行く所をもう用意しているのでしょうか?専業主婦だったのかしら? 働かなくても、食べて行けたのですね。子供も元気に育ったのですね。
子供の学費も大丈夫だったのですね。幸せなもんですよ。
渡辺淳一の小説に、定年後の夫と妻が描かれてる、二人で暮らしている。妻はお洒落して仲間とよく出掛けていく、。
夫は、行くところがない。私から言わせてもらえば、幸せなもんですよ。将来の不安は無いのかしら? 出歩くお金があるんだ!
退職金が、しっかり入ったんだ。
妻の尻に敷かれるなんて、ある意味、、幸せの象徴ですよ。
ここで、管理人様に、、差し出がましい一言です。「ぬれぞうきん」ではなくて、あれは、
「ぬれおちば」です。
払っても払っても、濡れていて塵取りとかから落ちない落ち葉 に例えられて、、大ヒットしましたね。あと「恐怖のワシ男」どこにでも「ワシも行く」と奥さんについていこうとする。
退職金について、私も川柳を、、。
「分配を考えるほど無し退職金」
ネコさん、こんにちわ。
そうでした。ぬれ落ち葉だったですね。すみません。
本当は退職金がないのも事実です。
自分の就職した会社では、業績が悪くなると、給料にはあまり手を付けないで、退職金の制度をどんどん変えていきました。
最初は勤務年数だったのが、ポイント制にする、課長に昇進するとポイントがつくが役職はいっぱいで誰も昇進できない。
そのうち今年からポイントは半分にするとか何とか・・・
給与には反映してないから、表立った統計には出てきませんが、これも本当は問題だったのだと思います。
そうですか、
ポイント制の退職金、初めて聴きました。
まるでお買い物ポイントみたいですね。
退職金も、無い会社も多いらしい。少しでももらえるだけ良いらしい。
そして、就職も、正社員の採用などなかなか無く、派遣とかが多いらしい。自分のキャリアを磨いて、上をねらうしか無いらしい。
終身雇用など最早、死語に近いのかも知れませんね。退職金を半分もらってドロン、なんと幸せなことを、、。
私は、娘に「お母さん達は、良いなあ!私達の頃には、年金なんて無いかもしれない。」と羨ましがられています。
しかし、羨ましがられるその年金も、介護保険料を天引きでガッポリ引かれ目減り、税金に追いまくられ、トホホの毎日です。ここでまた川柳
「税金の請求書のみ我がポスト」 (笑)
昨日その川柳見て同じこと思いました!(本歌取り)
現実にはあり得ない感じです。
主さんの半分せしめて、もネコさんの分配を考えるほどなし、もいいですね、現実的です(笑)
うちの夫は退職金なんて出ないなf^_^;
私の取られてドロンされないように気をつけます…
あめさん、こんにちわ。
本歌取り、思われましたか。あの
「田子の浦ゆ うち出でてみれば真白にそ 富士の高嶺に雪は降りける」(田子の浦から富士山は見えなくて、そこを通って出てみると)というのを
都にいて富士山を見たことのない方が
「田子の浦へ うち出でてみれば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ」
と詠みなおしたのと、同じような感じがします。観念化してしまっているんですよね。
経済的なことを考えれば、結果的に「仲良くしている」というのは重要なことでしょうね。