結局、ぴちぴちピッチは物語の何話かをCDに焼いて車で聞いている。最近ニュースでもそう思うのだけれど、なんとなく聞いているのではなくて、一度は書き起こすとか、完全に覚えて繰り返すというのでないと、本当に勉強したということにならないと思うんです。
CDの中に、ぴちぴちピッチピュアの15話の「七つの海の祈り」というのがあって、そこで敵方につかまってしまったるちあさんが、敵が巨大な装置を使って南極の氷を融かそうとするの見る場面がある。るちあさんは絶望して
スタマティーステ、パラカロ σταματήστε παρακαλώ
と泣き叫ぶ。「やめてー」というのが日本語のセリフだ。そこに以前に死んだ沙羅とミケルの体の中に取り込まれているはずの星羅が現れて言う
トラグーザ、トラグーザ、プリンキピサ τραγούδα, τραγούδα ,πριγκίπισσα
プリンキピサは王女、姫という意味だが、日本語では「歌って、るちあ、歌って」みたいなセリフがついている。
いつも出てくるセリフだから何の気なしに聞いているわけですが、あるとき「ええっとこれはどんな綴りだったっけ、これ変化形なんだったっけ?」と考え始めた。単純なセリフなんだけど。
現代ギリシャ語の動詞には態や数のそれぞれに2つの命令形がある。動詞が、ある状態を続けていたり繰り返しているのか、ある時間的な流れの中で1回行ったこと、済んだこと、先々でやってやってしまえばおしまいのことなのか、という区分があるのです。英語にはないけど、フランス語やロシア語の動詞にもそうした区分がある。
単数の場合で
トラグージセ、スタマーティセ τραγούδησε, σταμάτησε
も「歌え」「とまれ」だけど、これは歌っていない人に対して、じゃ歌って、ということになるだろう。あるいは何かをしている人に「やめなさい」ということだけど、一旦ストップした後、その人はこっちを振り向くとか、何かをしていてもよい。
一方
トラグーザ、スタマータ τραγούδα, σταμάτα
というと、その歌うという行為を繰り返しする、あるいはやめないでずっとし続けるという意味になる。あるいは、ストップしたらその状態を保ち続けるという意味になる。
だから、機械は動いているものをとにかく止めろ、と言っていることになるのに対して、沙羅さんは「歌い続けろ、歌うのをやめちゃダメだ」みたいなニュアンスを言ってるわけですよ。
これも、一応ちゃんと勉強しないとだめだよなあ。ロシア語の場合は割と出来上がったメソッドが日本で紹介されているから、テキストに合わせてすればいいんだけど。
ちなみに、この話で絶望的な状況の中でるちあさんが歌いだすところは自分は好きです。けなげさというか。自分はなんか、こんな単細胞かと思うけど・・・